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「だれの目にも読むことのできる記号で、『ガンダルフこれにあり』と、書いたのじゃから」

インターネット上に投稿するときに、実名がいいか匿名がいいかについて議論がありますが、それについて考える時、思い出すのが、指輪物語のこのくだりです 。 吹雪の吹き荒れる山で、エルフにも、ドワーフにも火をおこすことがかなわず、仕方なくガンダルフという魔法使いが、湿った薪に魔法で火をつけます。その代償として、魔法使いの名前が公然とさらされます。それは、敵に自分の居場所を知られる行為でもあるのです。 インターネットに名前を著すのは、魔法使いガンダルフのように、覚悟が必要です。  アーサー・C・クラークが言ったという「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」とも奇妙に符合します。 誰でもインターネットに自分のプライバシーでさえも公開できる時代はまた、誰かが自分に成りすますことのできる時代でもある、ということです。   とうとうしまいにガンダルフ自身がいやいやながらも手を出すことになりました。かれはそだを一束手に取ると、しばらくそれを高くかかげ、それから「ナウア・アン・エドライス・アメムン!」という命令の言葉とともに、杖の先をそだの中に突っ込みました。するとたちまち緑がかった青い焔がほとばしり出て、薪はパチパチとはぜながら燃え上がりました。 「だれか見ている者があれば、少なくともこのわしはかれらに姿を現したも同然じゃ。」と、彼はいいました。「わしは、裂け谷からアンドゥインの河口にいたるまで、 だれの目にも読むことのできる記号で、『ガンダルフこれにあり』と、書いたのじゃから」  J.R.R.トールキン『旅の仲間』評論社、1992年   At last reluctantly Gandalf himself took a hand. Picking up a faggot he held it aloft for a moment, and then with a word of command, naur an edraith ammen! he thrust the end of his staff into the midst of it. At once a great spout of green and blue flame sprang out, and the wood flared and sputtered. ‘If...

「大学では なにを読んだの?」 「なにを読んだ?」 「専攻はなんだ?」ヘルがはっきりさせた。

 "What did you read at university?’  ‘What did I read?’  ‘What did you major in,’ Hel clarified. Trevanian. "Shibumi"早川書房、1979年 アメリカの大学では、何を読んだか、が重視される。少なくとも20世紀はそうであったと思う。

「伝票はお金である」

 私が2回目に働いた職場で上司から言われた言葉です。これを聞いたときは全く意味が分かりませんでした。インターネット上で検索しても、見つかりませんが、至言だと思います。

「夏で、レッド・ソックスにとっては楽なゲイムだ。マーティ・ラブが、すっかり身についた投球でニューヨーク・ヤンキーズをあしらっている。」

  t was summertime, and the living was easy for the Red Sox because Marty Rabb was throwing the ball past the New York Yankees in a style to which he’d become accustomed. Robert B.Parker,"Mortal Stakes" (The Spenser Series) 日本語翻訳題名は、『失投』菊池光 訳 早川書房, 1985 今日は5月下旬ですが、夏の気温でした。まさしくこのような日に、野球場でビールを飲みながら観戦するのは楽しいことでしょう。この『スペンサー』シリーズもまた、箴言の宝庫です。トレヴェニアンの『シブミ』も、また今後取り上げるディック・フランシスの競馬シリーズも、菊池光さんの訳で読みました。今こうして、英語原文と比較しながら読むのもまた、私にとっては楽しみの一つです。

「彼ら(アメリカ人)は非常に優秀な商人で、金を儲けた人間に深い尊敬の念を抱く。」

They are very skillful merchants, and they have a great respect for fiscal achievement. トレヴェニアン『シブミ』早川書房、1979年から引用。この本は、箴言の宝庫だと思う、すくなくとも私にとっては。著者はアメリカ人である。

「われわれ西欧人と、スラブ民族の心と考え方にある断層は、底知れぬものがあり、悲しいことに、それは絶対に理解できないものなのだよ。」

さいとうたかを『ゴルゴ13』第2話 デロスの咆哮、1968年12月 より、フランス情報局オマイリーの発言。残念なことに、これは今でもそうなのかもしれない。  なお、 日本大百科全書(ニッポニカ) によれば、「スラブ民族」とは、 大部分はロシアをはじめとする旧ソ連諸国および東欧諸国に居住し、その地理的位置と言語の近親性の度合いに基づいて東スラブ、西スラブ、南スラブの3群に分類される。1995年における総人口は約3億で、その内訳は、ロシア人1億4650万、ウクライナ人4600万、ベラルーシ人1000万(以上、東スラブ)、ポーランド人4900万、チェコ人1038万、スロバキア人450万(以上、西スラブ)、ブルガリア人845万、セルビア人1016万、クロアチア人565万、スロベニア人230万、モンテネグロ人62万、マケドニア人177万(以上、南スラブ)などである。  とある。 この中にはウクライナ人も含まれている。この定義に従えば、2022年に起きていることは、同じ民族同士の戦いなのだ。なお、 世界人口ランキング・国別順位(2022年版) によれば、2022年現在、ロシアの人口は145百万人、ウクライナの人口は43百万人となっている。ロシアの侵略行為がどんな形で決着するにせよ、両国の人口は減るだろう。

「行動に至らない人生は失敗に等しい」

A life which does not go into action is a failure    ドン・ペンドルトン『マフィアへの挑戦4』創元推理文庫、1973年 より、 A.J.トインビー『歴史の研究』の中の一節として冒頭に引用されているが、中央公論新社『世界の名著 トインビー』の中には見当たらなかった。抄訳だから入っていないのかもしれない。 『マフィアへの挑戦4』には、孫文の「 識ることは難しい。だがひとたび識れば、 行動を起こすことはたやすい 」 To understand is hard. Once one understands, action is easy. も引用されている。これについては、岩波文庫の『 孫文革命文集』に本文がある。