「きみにとって、8月6日は、なにか意味があるかね?」
「空港でのあの流血の惨事にアメリカ人が関係していたとは、絶対に信じられないわ。罪のない子供や老人...」 「きみにとって、8月6日は、なにか意味があるかね?」 「8月6日?ないわ。なぜ?」 「いや、いい」 ‘I refuse to believe that Americans were involved in the blood and horror of what went on in that airport. Innocent children and old men . . .’ ‘Does the sixth of August mean anything to you?’ ‘Sixth of August? No. Why?’ ‘Never mind.’ Trevanian " Shibumi" , 菊池 光訳 早川書房、2011年 アメリカ軍が広島に落とした原爆で恋人を失ったニコライ・ヘルの問い。多くのアメリカ人にとっては、日本軍が 宣戦布告前に、 真珠湾のアメリカ軍艦隊を攻撃した12月8日は覚えていても、8月6日の意味は知らないのだろう。もしかしたら、日本に住む人の多くにとっても。